デザインはつくることだけじゃない。
デザイナーだけのものでもない。
かといって、
デザインはものづくりの仕事でもある。
デザイナーが司っている。
ただし、形を追う事だけでもない。
と思っていて、
自分はどっちなのか?どちらでも無いのか?とぐるぐる考え、結論が出たかと思えば、
ある時、また振り出しに戻るというようなことを繰り返してきました。
作ることが好きでこの世界に入ったのに、
社会に出てみると先輩に「デザインするな!」と言われてしまったり・・・
当時はわけが分からず頭を抱えました。
(今、この言葉の意味はものすごく分かりますし、若い時にこの言葉に出会えて良かったと思います。なので、僕が社会に出て実際に最初から最後まで、何かをデザインさせてもらえたのは確か26、7歳くらいでした。今、振り返ってみると、かなり遅い方だったなと思います。同期は既にバリバリとデザインしていて、正直、羨ましく思っていました。)
「デザインするな…? では、僕は何をすれば良いのか、いったい??」
同時はそう思っていました。
独立させてもらってから10年はその答えを探していた10年のように思います。
今の僕なりの答えは、
「デザインを通して提供する価値は何なのか?その風景はどんなものか?まずはそれを考えなさい。」という事。
デザインはデザイナーだけでは成立しません。製造を担当する業者さん、依頼主や最終的なエンドユーザーがいて、また使われる環境があって、初めて成立します。そうした登場人物を含めて、どんな風景を描くのか、また社会にどう影響するのかも含め、スケールの大きな仕事だと思っています。
僕たちデザイナーはおそらく、昔から絵が得意だったり、ものを作るのが好きな子どもだったことで、美術系の学校を出ている人も多く「つくること」が得意です。
そうでない人たちからすれば羨ましく思われるのかもしれません。
でも、その力がある故に、近視眼的に物事を解決していないだろうか?とも思うのです(もちろん僕も含めて)。本当に大事なものは何なのか、提供したい価値や風景はどんなものだったのか?
この本「アート・イン・ビジネス」は、ちょっと前に出版された本で購入して積読になっていました(まだ読了していません汗 遅くて良いとひらきなおってます 読むこと自体が目的では無いので)が、今日のビジネスをアートの視点で捉えていて、読み進めている途中ですが、大変興味深いです。
その中に出てくる「Soup Stock Tokyo」を始めた遠山さんという方の描いた風景がとても素晴らしいです(存じ上げていなかったわけではないのですが)。
そのコンセプトが「スープのある1日」という風景ですが、
様々な要素を繋いでいて面白いのです。
本の中で、
「たゆみないマーケティングリサーチの結果として素晴らしいスープが生まれただけではない、また、スープという外食産業界における革新的な成功事例が「スープストック」を作ったわけではない。」と書かれていますが、まさにその通りで、ニーズの予感があったところへ行き、コンセプトによって景色を作り出した、イノベーションを起こしたという事だと思います。
(簡単に書いておりますが、もちろん、立ち上げに大変なご尽力をされたことは想像に難くありません)
P.F.ドラッカーの「マネジメント」も同時に読み進めていますが、
この2冊は自分の中で同期しています。
全てのデザインがイノベーティブでなくてはならないとは思いませんが、
ものづくりのその手前の
「提供する価値は何なのか?その風景はどんなものか?」を考えること、
それが大事で、今の僕の答えなのかな?と思います。
個人的な想いの文章になってしまいましたが、
読んでいただきありがとうございました。